<モアブからトゥーシャン>
朝、遅れたので、朝食の果物はもう無く、コーンフレークとパンをミルクにつけて流し込み出発した。キャニオンランスNPに191号を戻る形で向かったが、ナビのセットができなくて入り口が見つからない。仕方が無いので反対側のアーチィズNPに向かった。入るとさすがに広大で午前中にはここだけ見るのが精一杯であった。どのような自然現象でこのような形になるのか、ただ思いのほか広範囲に散らばる風化した赤い奇怪な岩の群の力強さはアメリカだなあーと思わざるを得ない。

モアブに戻ると昼だった。昨日見つけたスーパーに入るとそこは雑貨ばかりで食料は無かった。ぶらぶら歩くとその横手に酒屋を見つけた。ビールとワインはどのスーパーにもあったがアメリカでは強いお酒はこのような特別の店で売っているらしい。早速、バーボンを手に入れた。道の反対側にピザ屋があった、昨日イタリアンであったことを思い出し、その先のサブウエイに入った。カウンターの上になにやらメニューがいっぱい並んでいるがさっぱり分からない。中ほどにミニと書いてあったので、ミニベーコンだのミニチキンだのと頼んだ。あとは指差しでサラダやマヨネーズを入れてもらった。そしてコークはもちろんSだ。ミニでないとどのくらい大きいのだったのだろう。
モアブをあとに、程よい山道をひたすら南下した。10mlぐらい毎に町があり西部劇の時代なら良い道だなと思いながら走った。モントセッロの町でガソリンを入れた。カードシステムが外に付いて無いスタンドだ、店でカードを見せてから入れるタイプだった。さらに南下するとだんだん西部劇風の景色になり始めた。ブルフの町で、163号線に乗り換えようとしたら、カーナビが真直ぐ進めと命令してくる。私達は、モニュメントバレーが見たいんだと、さらに西へ進むと彼も負けじと戻れと叫ぶ。

そんなことをしているうち、突然にわかに雲行きがあやしくなり、モニユメントバレーで珍しい通り雨はまさに幻想的であった。しかし、そのあとの熱波ははもの凄く、車の窓を開けることもできない。だが、尿意はいかんともせず、車から降りた、サンダル履きの足が熱で痛い。尿は一瞬で消え、息をすると鼻の奥とのどが熱い。ここでもしエンストでもしたら、1時間と持たないであろう。そんな中で、ネイティブの人たちであろう。旗をなびかせ、テントの中で何かを売っているらしい。死んだ振りをしているネイティブに近付いてはいけないとウエード氏に注意されていたのでそのまま走った。ナビもあきらめたらしくおとなしくなったので地図で確認するとアリゾナに入っていた。
カエンタで160号をさらに西へ向かった。アメリカではすべての偶数の道は東西へ、奇数は南北向かっているらしい。ひたすら真直ぐの道を逃げ水を追いながら、まったく砂漠とはいえない道をひた走った。今日は気象がおかしいのかもしれない、遠くで竜巻の子供がいくつも出来そうになったが、空にはそれを成長させる異常な雲はなかった。
89号から64号に入ると国立公園のためか、家が無く、景色は一変し、グランドキャニオンに近づいた感じがした。なだらかな砂漠に切り裂かれた断崖が見える。あれはグランドキャニオンに入る支流だろう。さらに進むと登りになり、木が育ち始め、潅木の森を抜けた奥に東のゲートがあった。$25で一週間のチッケである。そこを抜けるとすぐに最初のポイント(デザートヴィユーポイント)があった。それは想像を絶する光景である。どうして、地球上でこんな造形ができるのだろう。じっと見ていると谷の底の景色が本物と思えなくなる。銀色に光るコロラド川は貼り付けたように見える。

西に進むといくつもポイントがあったが、宿に急いだ。西のゲートの近くにホテル群があった。しかし森の中を点在する中で、私達のホテルを見つけるのはかなり難しい。簡単な地図はあったが目標物が見つからない。まず中心まで行って地図をたどろう、たどりながら進むと西のゲートがあった。そうか、ゲートの外か。それなら地図にゲートくらい書いておいてほしいよ。ゲートを出てしばらく走ると突然町が現れた。トゥーシャンの町だ。予約したホテル[レッドフェザーロッヂ」はすぐに見つかった。
困った、ここは国立公園内のためか携帯電話がつながらない。さぞかし三千代さんたちが心配していることだろう。ロッヂは綺麗だったが、ホリデイインに買収されたばかりのようで、何かがちぐはぐだ、チェクインで支払済み予約表を見せるとそれを渡してくれと言うので渡すと一部屋分のキーをくれた。2部屋予約してあるはずだと言ったつもりだが、アップステアーとかダウンステアー何じゃらかんじゃらと言われ、わからないが中が2階建てか2間続きの部屋かと思って鍵を受け取った。何のことはない普通のツインベットの部屋である。そのうちエクストラベッドが運ばれてくるではないか、とんでもない!すでに2部屋分の料金を払っているはずである。何とか美千代さんと連絡をとって交渉してほしいと思ったが、部屋でも公衆電話でも連絡がつかない。
ついに覚悟を決めた。このような場合は私の出番だ。いよいよとなったら日本語とイタリア語でわめき倒すつもりだ。始めはゆっくり!私はこの条件に納得がいかない。もう一度私が渡した予約表を見てください。2部屋分の料金を払っているはずだ。そう告げると、なにやらキーボードを操作して肩をすくめて手を広げるではないか。それが真剣に謝る態度かと思ったが、すぐに隣の部屋の鍵を渡してくれた。それだけでは、ちょっと納得がいかない。この件で私が不都合の事をしたのか、そちらがしたのかはっきり言ってくれ。場合によっては予約会社にすべて報告しなければならない。と脅したら、すべて私達の間違いです。といってくれ、やっと溜飲を下げた。あれ、こんな時は、私も英語ができるのかもしれない。
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