おじさん達のベトナム旅行 8
<ハノイからタムコック>
今日だけは晴れてほしかったのに・・・ 雨は考えずにタムコックの観光を予約してしいた。最終日でこのまま着替えるのは難しく、濡れ鼠で飛行機に乗らねばならないかも知れない。だが、とりあえず朝早く荷物だけホテルに預け、チェックアウトしてマイクロバスでタムコックに向かった。相変わらずの雑踏を何とか抜け、しばらく小雨の煙る市街地を突っ走った。重たい気持ちは皆を寡黙にする。

タムコックはハノイの130km位南にある。この時期は3毛作の1回目の田植え前の水田で、道路と住まいだけを残し、あたりが水没しているように見える。道路は中央の4mほどしか舗装してない。残りの1mほどを自転車が走り、車がすれ違うときに片方をその道に脱輪させながら進む。道路の隣には必ず運河が平行し、達磨船が走っている。この辺りでは重量物の運搬はトラックより船が主役なのだ。反対側は道路より低くい前庭で、畑の苗作りなどの作業と子供や鶏の遊び場だ。住まいはその先から始まり、中庭があって倉庫らしき建物がある。その先は見渡す限りの田んぼだ。住まいは基準があるらしく、みなホイアンと同じく、間口は5mくらいで、3~4階建てのレンガとコンクリート造で3階にはバルコニーのある家もある。
タムコックに近づいたが、車はさらに1時間ほど南のゴシック建築があるというファットジェイムに向かった。たしかにこのあたりの集落の中心には立派な教会がある。この時期、道路脇の墓地は水没しているようだが、十字架が掲げられている墓も多い。ベトナムの2割はクリスチャンと聞く、このあたりが特に多いのだろう。突然、ヨーロッパ風の寺院の前で降ろされた。観光客は皆無だったが、立派な伽藍だ。鐘楼は完全な石造だった。寺院の妻側だけが本格的なゴシックの石造りで、本体は立派な柱が林立する木造大架構の建築である。このベトナムゴシック建築はかなり荘厳で、もっと評価されても良いと思う。残念ながらこの写真は無い。
タムコックに戻り、昼食をとった。いよいよ船による見学だ。幸い雨は落ちていない、しかし風は冷たい。船はささ舟のようで、魯と舵と客は二人で乗って1時間半ほどの行程だ。たしかに陸のハロン湾といわれるだけの幻想的な景色の中を、手漕ぎの小舟で三つの岩窟をぬけて廻るのは素晴らしい舟旅だ。舳先に座った私は寒さに震えながら、この幽玄の中に溶け込んでしまいそうな気持ちになった。
濡れ鼠は免れたが、すっかり冷えた体で帰途についた。ハノイ着いた時はもうすっかり暗く、お腹もすいた。最後の晩餐はあの蓮池の辺のホーの美味しいモダンな店に決めた。心置きなく満喫し、ワインの美味さをかみしめた。飛行機は深夜に出発と聞く、心地よい疲労でよく眠れるだろう。ホイアンから始まった旅は長いようだが、あっという間に過ぎてしまった。ベトナムはいろいろ考えさせられることも多いが、私は好きだ。汗の滴る頃、再びこの地に立ちたいと強く願う。 完