南イタリア・車で周遊<シラクーサ~トロペア>
シラクーサを半日で去るのはとても心残りだが、夕方にはメッシーナからフェリーで本土に渡る予定なので、すぐに高速道路に乗った。シチリア最大の街カターニャは見たいと思ったが、短時間ではとても廻れそうもない。しかも、カターニャの20kmも手前から高速がラッシュである。こんな街は近寄りたくも無い気分になった。だが調子の悪いナビのケーブルは交換してもらう必要が有るので、飛行場のハーツの事務所には立ち寄った。この時に思い切って車も交換してもらえばよかったと後で思ったが、何とか乗りこなそうと必死だった。

正面に見えるシチリア最大の活火山エトナ山の東側の海辺のリゾート地タオルミーナに向かった。高速を降りてしばらくは美しい海岸の道だったが、標識はそんな優しい場所だけを誘導するはずも無く。半クラッチでCmaxの悲鳴を聞きながら登り、駐車場を探した。頂上と思われる少し広いバスターミナルに入り込んだ。黄色の線の駐車場はあるが、一般の駐車場は見当たらない。チケット売り場で聞くともっと先の下がった場所にあると教えられた。こんなにも下がると登るのが大変だと思った時、山の中腹を削り取ったようなコンクリート造の大きな駐車場が現れた。ここからターミナルまで無料のシャトルバスが出ているようだ。しかし、なぜこのような不便な崖の上に高級リゾート地を造るのだろう。

停留所の近くのピッゼリアに入った。入り口は小さかったがピザ釜のむこうは展望テラスになっていて、素晴らしいロケーションだ。3枚のピザと水のボトルと生絞りオレンジで昼食にした。味付けや、トッピングにも注文をつけて、頼み方もずいぶん上手くなり、もう不自由は無いような気分になった。
お腹は満たされたが、日差しは強い。細い階段を登り旧市街に向かった。美しいリゾートの街で、突き当たりのドーモ広場には眼下に大パノラマがある。爽やかな風に吹かれながらナゾが解けていくような気がした。イタリア人達はこのような劇的な街造りが大好きで、少々の不便でも何時かはこんな街で花に囲まれて暮らしたいと願っているようだ。ドーモから戻り右に曲がって海側に突き出た崖の上にレンガで積み上げられた壮大なギリシャ劇場がある。その観客席からの眺めるエトナ山や青い海の美しさは例える物が無いほどだが、なぜ劇場の背景がこのような絶景でなければならないのだろう。再びセジェンスタと同じ疑問が生まれた。

高速に乗り、メッシーナに向かった。ツトムさんからの情報でメッシーナからは鉄道で、自動車のフェリーは少し北のサン・フランシスコ港からだと聞いている。ナビの指示をうけながら、右側の対岸に本土の景色を見ながらSINさんが運転する快適なドライブである。
フェリーはそんなに混んではいなかった。展望室に入るまでも無く、甲板で爽やかな風を受けながら、ビラ・サンジョバンニに向かった。この目と鼻の先のような海峡が古代からどんな文化と歴史のドラマを作ったかを考えると不思議な気持ちになる。

南イタリアは長靴の足首あたりまでの西側にはトロペアを除いてほとんど観光地らしき場所が見当たらず、あまり期待はしていなかった。トロペアは長靴の甲の瘤のように丸く突き出た半島の岬の街である。高速を降りると対向車はほとんど無い。交換したナビが正常に動き出し、夕陽の山道を不安も無く、快適に走った。小さな街を抜けると突然海が見え、遥か眼下にトロペアらしき街が見えた。相当に下るようだ。線路をくぐると家が現れ、もっと小さなリゾートを予測したが、案外立派な街である。ナビが指示したあたりを探すとすぐにホテルは見つかった。
荷物を下ろし、チェックインを済ませ、カウンターの地図を受け取って、ホテルの位置を確認した。何とここには旧市街があるではないか! 僕はてっきり新しいリゾートの街と考えていたら、歴史的な街でもあるのだ。ちょっと新しい興味を持って、街に出た。
トロペアの旧市街は海に面する縦横が200m位のこじんまりとした街である。しかし全体が城壁になっているようで、南の展望台の先の西の岩の上に砦のようなお城があり、西の出口は絶壁である。要塞として歴史の中で生き抜いてきた様子がうかがえる。アラブ的な迷路には様々な店が点在している。角を曲がると強烈なサラミのスパイスの匂いに誘われ、奥に入ると天井から何十本のサラミがぶら下がる店を見つけた。元気なシニョーラに食べろと進められ、それは芳醇なピリ唐でたまらなく美味しい。これはどれと聞くと天井から下がった50cmものサラミだった。これを持って帰るのはちょっと難しいと考えていると、隣に10cmほどのサラミが10個ほどつながるのも同じ味らしい。これなら何とか持ち帰れると買ってしまった。2~3軒隣の店では特製レモンチェッロの試飲が始まり、進められるまま何杯も飲んでしまい1本買うことになった。
旧市街の入り口にお屋敷のガーデンテラス風ピッゼリアがあった。門を入ると葡萄棚とテントの下にテーブルが並び、奥に炭焼き小屋のようなピザ釜があった。豪華な雰囲気ではなかったが、パーティー風でボーイ達も明るく感じは良かった。前菜にスパゲッティーやピザと地元のワインといったつもりが、1リットルのデカンタのワインが出た。まずくはなかったが、次には地元のボトルを頼みおおいに盛り上がった。気がついたら楽しい旅も半分は過ぎてしまったのだ。事故の無いように頑張ろう!
















