どうなる設計基準 3
<前面道路奮戦記>
今回は耐震や、新しい設計基準の話ではないが、最近かなり役所の対応が怪しい、先日、某区役所と前面道路について争った経過を報告します。
ディベロパーから小規模のマンションの設計依頼があった。役所との事前の打ち合わせでは特に問題はなかった。しかし、事前公開版を出すとすぐ役所からクレームが来た。
敷地は大通りから20mぐらい入った道に接する敷地で、さらに5m程先はあまり広くない裏通りに面している。問題はこの道が、大通りに面する幅員が4.5mくらいで裏通り側が6mぐらいの斜めの道であった。建築基準法で前面道路というのは道路斜線や容積の算定に重大な影響を与え、特に今回のように商業地区だと少しの幅員の差がすぐ20%ぐらい容積が変わってしまい、事業の存亡に関わることになる。
前面道路の位置を接道義務から考える緩和の措置で広い方から2mという考えもあるが、条件を厳しく考え敷地に接している道路の中心で申請した。しかし、役所から容積に関しての前面道路は大通り側の入り口と敷地に接する反対側までの中心で考えよ。と指導された。しかし、この指導を受け入れると容積が10%ほど減ってしまい、その根拠も不明確であり当然納得できません。
第1回目の質問状を指導課に持ち込んだ。 1.この条件はこの場所だけの特例ですか。 2.大通りの入口に対応する位置は裏通りの出口であって、条件の違う中心を測定するのは理論的に無理でないか。又それに応じて計算すると前面道路幅員が敷地に接していない位置になってしまう。これでは前面道路とは言えないのでないか。 3.この方法で容積率を算定すると一つの敷地で道路斜線や天空率を算定する前面道路と、敷地に接してない別の前面道路が存在してしまう。これでは基準法上に問題が生じないか。
この質問に対し、3枚の解説本の抜粋に赤線を引いたものを根拠とし、社会性や環境を考え、前面道路は大通りの入口側とする。と、前回よりかなり厳しい指導がきた。それでは容積率が20%も減ることを意味し、事業が成立しなくなり、地権者の財産権に関わることになる。
もちろん第2回目の質問状を提出した。1.役所は根拠として提出した文書の中で相当区間の意味を拡大解釈して社会性や環境を持ち込んでいるけれど、その文書に、「かつ」以下、接道義務がついて状況を限定し、わざわざそのように拡大解釈をしないように書いてある。 2.もう一つ提示された例でも、「自分の敷地のみが広がっている場合は」と主語で限定しているにもかかわらず、赤線でその主語を外して、広がってないのが明らかなのにも関わらず、これに相当すると主張しているのはどうしてか。
これらの質問に対し、役所は文章としてはそう読めるかもしれないが、社会性や環境を考え、たとえ20m程離れていてもここを前面道路とする。第1回目の3も含めて基準法には矛盾はしない。との主張でした。
このような主張では、理論も何も有りません。どこかの捕鯨反対団体とおなじで、社会性や環境と叫べばもはや法律も日本語も関係ないないようです。仕方が無いので近隣の実例を調べあげた。案の定どのビルもそんな規定に従って設計されている物件はありません。その実例を持って第3回目の質問状を提出した。やはり実例は何よりも強く、その日の夕方にやっと無事、私達の主張が認められた。ほぼ1ヶ月間の不毛な戦いが終わり、ただ無駄な時間と労力だけが流れたことになった。



